芸術書出版 アートワークス

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束の間の美術館

オールド・マスター絵画と美術展覧会の興隆

フランシス・ハスケル著

高橋裕子訳

定価2,750円(税込)

A5判、340頁、モノクロ図版53枚

2025年4月刊行

「束の間の美術館」とは美術展覧会のことである。「オールド・マスター絵画と美術展覧会の興隆」という副題が示すように、本書で扱われている美術展は、すでに評価が定まった昔の美術家たち(オールド・マスター)の絵画の展覧会である。こうした展覧会は、現役の美術家たちの展覧会と並んで、今では当然のように開かれているが、いったいいつからあるのだろうか。そして、オールド・マスター展が開かれるようになった理由は何か。

欧米に限定しても、こうした問いに答えるのは簡単ではない。しかも、いったん誕生した展覧会は時代や地域によって変化し、その目的や影響も多様である。著者は、およそ17世紀から20世紀までの欧米の展覧会の歴史を幾つかの代表例によって具体的に述べている。しかし、本書は過去の記録に留まってはいない。現代の肥大した展覧会産業への著者の危惧の念が随所に示され、読者は美術展の功罪という問題を意識させられるのである。

著者フランシス・ハスケル(1928~2000)は、オックスフォード大学で長年美術史学を講じた研究者である。最初の著作『パトロンと画家』(1963年)が、「パトロンと画家を、まさにその順序で論じた書物」と評されたように、作者よりも受容者に注目した独自の研究によって、母国イギリスだけでなく欧米全域において、20世紀後半を代表する美術史家の一人として高い評価を得た。著書も8冊(うち2冊は没後出版)と、決して少なくない。しかし、わが国での紹介は著しく遅れ、本書『束の間の美術館』が初めての翻訳である。著者の没後四半世紀を経てようやく日本の読者にアクセス可能となったハスケルの著作だが、絶筆である本書には著者の生涯の関心と研究成果が凝縮されており、読者は本書を通じて、ハスケルのユニークな仕事の特質全体を感知できるかもしれない。彼の生涯と著作を紹介する「訳者解説」も理解を助けるだろう。

著者の没後四半世紀を経てようやく日本の読者にアクセス可能となったハスケルの著作だが、絶筆である本書には著者の生涯の関心と研究成果が凝縮されており、読者は本書を通じて、ハスケルのユニークな仕事の特質全体を感知できるかもしれない。彼の生涯と著作を紹介する「訳者解説」も理解を助けるだろう。

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